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【レビュー】シナリオゲ指折りの『CROSS†CHANNEL』

基本情報・ご紹介

製品タグ
タイトル CROSS†CHANNEL
ブランド FlyingShine(解散)
発売日 2003/9/26(初版)
ジャンル 学園青春アドベンチャー
原画 松竜
シナリオ 田中ロミオ
作品傾向 学園もの / 感動 / 成長譚

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**ご紹介**

 エロゲをそこそこプレイしていると、一度はこのタイトル名を耳にしたのではないでしょうか。数多くあるエロゲの中でも指折りの超名作。初版は2003年と古いですが、今でも十二分に楽しめた『CROSS†CHANNEL』。シナリオライターは有名な”田中ロミオ”氏が手掛けた作品です。

 どれほど凄いかと申しますと、『月姫』や『Fate』で有名なライター“奈須きのこ”氏が「超えられない壁」として評したのが本作。当時プレミア価格でしたが、DL版の普及やコンプリート版等が流通し、今ではお求め易くなっています。

 管理人は初版とコンプリート版を所持。コンプリート版にはコンシューマ化により追加されたシナリオが収録されていますが、執筆は”田中ロミオ”氏とは違います。綺麗に終わった物語に取って付けたような内容に感じ、考察としては楽しめるかもしれませんが、余韻を大切にしたくアフターストーリーは未プレイ。コンプリート化に伴い演出が強化され、良い面を採点致します。

ヒロイン/サンプルCG

※サンプルCGはDLsiteに飛びます
上からサンプル、ヒロイン名/キャスト、キャラ属性、イベント内容
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採点・グラフ

レビューについて

採点ジャンル シナリオ型
ジャンル係数 35:20:20:10:15

 

採点項目 点数 補正後
テキスト
シナリオ
35/20 35/35
キャラ 25/20 20/20
ビジュアル 19/20 19/20
エロ 12/20 6/10
演出
システム等
18/20 13.5/15

総評

**総評点** 93.5点

総評点90点以上
シナリオ・テキスト20点以上 / キャラ20点以上

シナリオ・テキスト

 あらすじは、‘群青学院放送部’に所属する八人のキャラクターたちを中心に描かれた学園青春ADV。初夏の合宿から戻ってきて以来、部員たちの結束はバラバラで。今やまともに部活に参加しているのはただ一人という有様。そんな中、主人公’黒須太一’は部員たちと交流するお話です。

 シナリオ構成については一直線。選択肢は多々ありますが、特定のエンディングを迎えないと次ルートへ進めないプロセスとなっており、順序良く見せたい制作側の意図が窺え、まごうことなきシナリオゲです。物語結末までの起承転結の中に各々起承転結があり、各√のテンポが良く、読み易さは良かったです。

 冒頭、原子力発電のある街を舞台。その冒頭にあった説明から舞台設定から作り込まれてそうな印象がありました。原子力発電所の街を設定に選ぶは珍しく、文章表現は聞きなれない目新しい言葉が沢山。いつ誰の何なのか不明慮な漠然とした回想パート。長く主人公が心情深け込むパートとト書きに期待がもてました。

 主人公の言動と周りの状況に齟齬を感じ、チグハグ。世界観があまりにあやふやで、その差異が逆に良いと感じました。所々惹き込まれる伏線が敷かれ、世界観の大枠をすべて述べず小出し。どんな物語なのか掴ませないプロローグです。

 例えば、バトルものなら黒幕を倒す結末。学園恋愛ものならヒロインと結ばれハッピーエンドと大枠な予想がつき、おおよそが想定内的におさまるところ、本作は中盤・終盤まで掴ませないシナリオ運びに興味を引きました。

 確かにマイナス的なレビューとして、素っ頓狂な主人公の言動や少し寒いギャグなど人を選ぶところは散見されますが、是非とも最後までプレイして欲しい一作の1つです。この批判的意見は物語を進めるにつれ払拭されていくことかと思います。

 泣けるような感動だけに留まらず、ただただ単純にシナリオが面白かった。’太一’が苦悩・葛藤し耐えながらも立ち向かう姿勢。理想的なヒーロー像ではありませんが、主人公ならではエンディングといったオチは非常に良く、文句のないシナリオです。

 世界観・設定の作り込みも凝っており、真相が明かされるにつれ納得させられ、よくオチが合わないときに用いられる「ご都合主義」といったこともなく、スッと腑に落ち、余韻の残る幕引きも完璧でした。

 前述のように起伏が良く、山場は中盤後半とラスト2か所ほどでBGMや演出での畳み掛けも素直に感じられ最大瞬間風速も中々。ブワッと涙の溢れくるのではないかと思います。

 伏線が上手いシナリオゲの1つに上げられ、再プレイも楽しめる物語なのも良し。考察なども考え応えある設定です。

 コンプリート版には、エンディング後閲覧可能なエクストラストーリーは余韻を損なうかと感じ注意。このうちの1つ『CROSS†’CHANNEL』は、”田中ロミオ”氏の没シナリオですが、こちらは考察用かと思います。また、他収録作は本人監修との事ですが、執筆は違う方なのでこちらも蛇足に思います(管理人未プレイ. 再収録ということもあり、一部演技の違うキャラクターがおりプレイをやめました)。

本作のシナリオジャンル等について(若干のネタバレ有)

 本作は、いわゆるループもの。ADV作品とタイムトラベル両方の良さを感じたのがこの『CROSS†CHANNEL』です。序盤のコメディはループを負うごとシリウスさが増し、その主人公の行動理由も納得できるのではないかと思います。

 公式ジャンルには「学園青春アドベンチャー」と記載にありますが、泣きゲ―に属するジャンルで、人との交流・感情の大切さを描写しています。ありきたりなコンセプトではありますが、少々特殊な主人公だからこそ、このコンセプトが引き立っているように感じました。

キャラ

 主人公の’黒須太一’は言葉遊び大好きなお調子者で、空気を読まなかったり等あるので人を選ぶ性格をしているかと思います。空気を読まない場面等はありましたが、物語を進むにつれ、そういった行動にも納得していける構成にはなっています。最終的には魅力的に。個人的にはマイナスに感じませんでした。

 また、彼を取り巻く他放送部員も良かったです。ヒロインに関していえば、各々多少なりの短所が垣間見える一般的人間性のある彼女たちでした。欠点を持っていれば良いというわけではありませんが、誰しもがもつ弱さが窺え共感できるのではないかと思います。そんなところに感情移入でき愛おしいです。

 簡略的ヒロイン紹介ですが、’見里’は天然系先輩。’冬子’はツンデレお嬢様。’霧’は後輩のクール系。’美希’も後輩でノリの良い明るさがウリで、’曜子’はミステリアス。無邪気で明るい’美希’の心地よさは、是非味わってほしいと感じるヒロインの1人です。

 ほか、親友的位置する男放送部員も2人おり、バランスのよい男女構成。青春群像劇を描くによい塩梅で主要キャラクター各々掘り下げ行動思考が分かりやすく、シンパシーを感じられるくらいのキャラ性の高さはあり、好印象です。

ビジュアル/エロ

 ビジュアルを務めるは、今はあまりエロゲ作品を見受けませんが管理人の大好きな”松竜“氏です。彼の手掛ける作品として、『クイーンズブレード』のアレインや『FateGrandOrder』のエレナをキャラクターデザイン。PCゲームでは『輝光翼戦記 天空のユミナ』『少女たちは荒野を目指す』を手掛けた有名イラストレーターさんです。

 収録ビジュアル枚数は基本CG80枚+カットイン系35枚。コンシューマ用に描き下ろされた推定8枚の約123枚が”松竜“氏担当されています。

 エキストラストーリーや本編修正されたイベントには、違う原画さんを使われているところがあり、全てを合わせると168枚になります。

 追加されたシナリオの分にはやはりビジュアル面で違和感があり、主人公などは決定的に違います。本編にはあまり影響はありませんが、追加エピソードはプレイする気にならなかった理由の1つです。

 実用性に関しては各ヒロイン1or2シーン程。HCGも4,5枚です。特にお伝えするようなものはなく、一般的シナリオゲの描写でした。

システム/演出等

 クライマックスにおける演出での畳み掛けがあり、シナリオゲームならではの音楽でした。楽曲は27曲でココぞという時の引き立てるものがあります。

 また、背景も差分があり。例えば食堂の空席の背景にて、主人公たちが着席するとその席が埋まる様に背景がフェードするなどの細かさで、テキストウィンドウを全画面に随所変えたりなど好印象を得ます。

 次に、こちらは追加されたであろうシステム面ですが、シーンジャンプ機能完備。設定の作り込みが凄い本作には有り難い仕様です。その他にも立ち絵の目パチ口パク演出。木漏れ日などのアニメエフェクトはあり、シナリオを魅せるに十分なシステム/演出面に思います。

総括

 舞台設定・世界観などの作り込みに惹かれる本作は、2度目のプレイも楽しめ、理解を深めていくのも可能です。シナリオ性は抜きん出て、キャラクターも良し。クライマックスも感動し、流石有名ライターさんなだけあっての魂のこもった作品でした。ヅラヅラと述べましたが単純に感動しコンセプトの感化されてしまうあたりやはり神作でしょう。

要点まとめ

シナリオの良い作品
シナリオライターは著名な”田中ロミオ”氏
惹き込まれる冒頭、そして単純に泣けたシナリオ
世界設定など作り込みの凄さを感じる
キャラが良い
物語が進むにつれ、成長する主人公
シンパシーを感じる登場人物たち

関連作品・情報等

★『竜姫ぐーたらいふ3』



POSTED COMMENT

  1. ワールド より:

    名作と聞いていたものの手をつけていなかったクロスチャンネル!
    ちょうどウィルプラスのセールで買おうか悩んでいた時にタイミング良くいい記事が!!

    奈須きのこさんも田中ロミオさんには1目置いているんですね。こちらもタイムリーでしたが、月姫リメイクを購入し初めて奈須きのこ作品に触れようと思っていた所なので、ライターの持ち味の違いなどを見比べながら両方楽しんでみようと思います。

    • admin より:

      ワールドさんコメントありがとうございます(*’ω’*)

      奈須きのこ氏の作品の直近で触れた作品が10年近く経ってる感じなので比べるに難いですが、
      個人的には多分、田中ロミオ氏の方が好きです。
      単純に面白いだけに留まらないところが本当に良かった!!!

      月姫リメイクに関しては購入するかどうかは未だ悩んでいて、過去メルブラでのCVとキャスティングが全変更に躊躇しているのが理由です。
      シナリオ量は相当な文量とのことですが、全ヒロイン√は未収録。遅筆で有名なきのこ氏なので次回作もいつなることやら…
      てか早くDDD出して(笑)

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