【レビュー】塗りが素晴らしい『奴隷姫騎士と奴隷侍女とのスローライフ』

**ご紹介**

　2021年7月30日に”Waffle“発売された『奴隷姫騎士と奴隷侍女とのスローライフ』は、奴隷二人とゆるやかな生活を描いたADVロープライス作品。怪我した主人公が快復まで奴隷を買い、世話してもらうお話です。

　冒険者をしていた主人公が怪我をし、身の回りの世話をしてもらうため奴隷（ヒロイン二人）を買うところから始まる物語です。主人公の趣旨としてはあくまでも介護要員で、奴隷だからといって、ストレスのはけ口にするような暗いお話ではなく、スローライフをヒロインたちと過ごすのが本作のコンセプトです。

　抜きゲーとの判断をしましたが、このスローライフパートのテキストがやや多いです。起伏に乏しく、目を見張るような面白さは感じませんでした。スローライフの描写に少々ダレはしましたが、逆に言えば丁寧に描いているかと思われ、そういった牧歌的なのんびりした物語を楽しみたい方には良いかもしれません。

　亡国のお姫様兼騎士とそれにつかえる侍女が本作にヒロイン。’アリエノール’は少々勝気。奴隷と元の身分の間をとったような態度で、’ファルナ’は献身的なキャラクターです。エロへの展開を図るため、彼女たちの信頼を勝ち得るのは早め。ヒロインたちの可愛さを描くような萌え的描写はなく、お話がスローライフ一辺倒な印象でした。

　ヒロインとの会話ではセリフと立ち絵の表情にやや違和感を覚え、理由としては表情差分が少ないように感じます。何種類か数えたわけではありませんが、体感少ないだろうと。総じてヒロインたちに魅力を感じなかったのが痛い点です。

　本作一番のウリがCGビジュアルの塗りのリアルさです。ヒロインの体躯の色合いが妙にリアル。本レビューでのサンプルでは確認しずらいですが、例えば、肌のキメはところどころ描かれており、バストップもリアル寄り。乳房には静脈が薄く描かれるなどのグラフィックの拘りを感じます。

　リアルよりな身体の塗りが必ずしも良いとは限りませんが、そういったビジュアルを楽しめるのが本作で、ここまでの塗りのリアルさは目にしたことがないレベルです。

　収録されている基本ビジュアル枚数は20枚、各ヒロイン7枚+ハーレム系6枚の内訳です。定価3,850円に対してのこの基本枚数は不満の残るボリューム。他ロープライス作品の数と比べてもやはり見劣り致します。

　Hシーンの数は各ヒロイン6シーン+ハーレム系4シーン、全て1HCGによるイベントで、ロープライスの標準仕様のつくりでした。複数回至る濃厚なシーンもありますが、ビジュアル枚数の兼ね合いからやはり物足りなさあり。BGVは収録されています。

ビジュアルの塗りに特化した内容でしたが、ビジュアルのボリュームに少々不満が残りました。CGの数をテキスト量で補っているように感じますが、物語はスローライフで個人的にはダレ。実用性に特化しているともいえない内容（ビジュアルのHCGの割合から抜きゲと判断しました）がどっちつかずに感じます。

ロープライス作品
ビジュアルの塗りが良い作品
肌のキメ、薄く血管も描画